この記事で解決できる悩みや疑問
- ピッチコムとは何かを知りたい
- ピッチコムの仕組みや使い方を知りたい
大谷選手が投手で登板する時、左腕に機械をつけているのをご存知でしょうか?
2023年5月4日 LAAvsSTL
— Ozzy_Days (@Jiji_Days) May 4, 2023
もうすでに言及されているかもしれませんが
気付いた事
ピッチコムはアンダーの下に付けていたように思っていたのですが
今回はアンダーの上?
BOS戦ではO'Hoppeさんの交換を要求したのも
そういう事かなと思っていました
違っていたらすみません。 pic.twitter.com/ibyNFUgBHJ
この機械こそが、ピッチコムというサインをやりとりする、最新機器です
この記事ではピッチコムの仕組みや使い方、導入目的まで詳しく解説していきます!
この記事の内容
- ピッチコムとは
- ピッチコムの仕組みと使い方
- ピッチコムの値段
- ピッチコム利用のルール
- ピッチコムのメリットデメリット
- ピッチコムは日本に導入されるのか?
この記事を読むと、ピッチコムについて理解が深まり、今以上に野球を楽しめます!
では、解説していきます
ピッチコムとは
ピッチコムとはPITCHCOMという会社が開発した、投手と捕手がサインの伝達できる通信機器です
元々、この通信機器は、マジックショーで演者が共演者たちに合図を伝えるために開発されました
しかし、大の野球好きであるPITCHCOM共同創始者であるジョン・ハンキンスさんが、アストロズのサイン盗み事件をきっかけに、野球のサイン盗み防止にも転用できるのではないかと考えました
ピッチコムはマイナーリーグの1Aと2022年の春季キャンプで試用され、2023年のMLBレギュラーシーズンから仕様が承認されました
あくまで、ピッチコムの使用は「任意」であり、必ず使用する必要はありません
ただ、2023年シーズン、MLB30球団が使用を開始しています
ピッチコムの仕組みと使い方
ピッチコムの仕組みは非常にシンプルです
ピッチコムには9つのボタンがある「送信機」と、骨伝導で音声でデータ受信できる「受信機」があります
サインをだす人(通常キャッチャー)が、送信機でサインをだし、ピッチャーや野手など受信機を持っている人が、サインに応じて投球をしたり、守備位置を変更したりします
こちらの動画で、キャッチャーがサインをだし、ピッチャーがサインを聞く流れを説明しているので、見てください(52秒から見てください)
【 #字幕付き動画 】捕手と投手のサイン交換の方法にピッチコムという技術が現在検討されています。サイン盗みを防ぐ意味で開発されましたが、ほかにも利点があるようです。どのようなものなのか、まず実際に使って解説してもらいましょう。 pic.twitter.com/MnXAF5MDBk
— MLB Japan (@MLBJapan) April 18, 2022
キャッチャーは送信機を手首に装着していることがほとんどです
ピッチャーからサインをだす際には、ベルトやグローブの裏に装着できます
大谷選手は、送信機をユニフォームの袖に装着し、ボタンを見ずに操作をしていることが話題になりました
Shohei Ohtani was using the PitchCom to call what pitches to throw but he had it under his sleeve so he couldn't see the numbers at all.
— SportsCenter (@SportsCenter) March 31, 2023
He had each button’s exact location memorized 🧠
(h/t Tim Keown) pic.twitter.com/nmQoQHj6jT
受信する側は、帽子の内側に薄いレシーバーをつけることで、音声を聞くことができます
帽子を脱いで(逆さにして)
— ゴンタ (@gontasukisuki) September 24, 2022
ピッチコムに耳をすます👂
ピンチなのに笑ってごめん😅 https://t.co/leah81tUBt
また、この受信機の音声ですが、多言語対応しており、自分の設定した言語で聞くことができます
言語のヒアリングミスで、サインを間違えることがないようにできているのですね
ピッチコムの使い方はこちらの画像をご覧ください
9つのボタンに「球種」と「コース」を設定することができます
発信者側は、2回ボタンを押すことで「球種」と「コース」を指定します
例えば、「1番左ボタン」→「右下ボタン」だと、サークルチェンジを外角低めにというサインになります
指でだすサインに比べて、とてもシンプルな使い方です
ピッチコムの値段
野球のサイン交換で使えるピッチコム、日本のプロ野球や一般の草野球で使ってみたいですよね
けれど、ピッチコムの値段は明かされていません
ピッチコムの公式ページをみると、大学や高校での使用を想定した、より安価なモデルも準備していますと書かれています
より安価なモデルということは、今、MLBで使われているのは、ある程度の金額するのでしょう
また、こちらのサイトにはこのような記述もありました
Clubs are responsible for their PitchCom devices. Any club that loses a transmitter or receiver will be charged a replacement fee of $5,000 per unit
https://www.khou.com/article/sports/mlb-approves-of-pitchcom-system/285-5a923082-50aa-4a7e-9eb5-e4b4bd100a57
訳はこちらです
「クラブはPitchComデバイスに責任を持ちます。送信機または受信機を紛失したクラブは、1台につき5,000ドルの交換費用を請求されます」
ここから、PITCHCOMは送信機一台だけでも70万円程度(5,000ドル)の値段がするだろうと考えられます
まだまだ、一般利用にはハードルが高そうですね
ピッチコム利用のルール
2023年からMLBで利用が許可されたピッチコムですが、利用ルールが定められています
MLB新規則
- 送信機を3個所有できる
- 受信機を12個所有できる
- 投手、捕手、野手3人で、最大5人が受信機を着用可能
- サインを送ることができるのは1人のみ(投手か捕手)
注目すべきは、「投手、捕手、野手3人で、最大5人が受信機を着用可能」のルールです
野手3人は、牽制などのサインプレーが多くなるセンターライン(セカンド、ショート、センター)の選手が持っているケースが多いようです
しかし、必ずセンターラインの選手が持つと決められているわけではないので、今後、戦略によっては他のポジションの選手が着用するパターンもでてくると思われます
実際、大谷選手は、初回〜3回までは投手として大谷選手がサインを出し、4回以降は捕手がサインを出すというやり方で、MLB初の完封勝利を記録しました
ピッチコムをどのように使っていくかも、今後の野球の戦略の1つになりそうです
ピッチコムのメリットデメリット
ピッチコムにはメリットもデメリットもあります
メリット、デメリットをそれぞれ2つ紹介します
メリット1_サイン盗み防止
MLBではサイン盗みが一時期横行していました
サイン盗みとは、相手チームの作戦や球種のサインを解読し、味方チームに伝えることです
スポーツマンシップに反するので、規約として禁止されている行為です
そこで、防御策としてサインを複雑化するという方法が取られていました
しかし、複雑化したサインは覚えるのが難しく、本来の野球の力以外の部分で、考慮すべきことが増えていました
そこで、サイン盗み防止のアイデアとして、ピッチコムが登場したのです
ピッチコムはデジタルデータでサインを送り合うので、盗むことができません
また、デジタルデータも暗号化されているため、万が一ハッキングされても、解読することが不可能な状態です
メリット2_試合時間短縮
ピッチコムを使うことで、単純にサイン交換に費やす時間を短くすることができます
今までは、マウンド上でセットポジションについてから、サインを見る必要がありました
ピッチコムがあれば、マウンドから降りている時でも、サイン交換をすることができます
また、投手からもサインが送れるようになったため、キャッチャーのサインに投手が首を振る時間を短縮できます
ピッチコムがあることで、試合時間の短縮が実現できます
デメリット1_ピッチコムの故障がある
MLBを見ていると、ピッチコムの故障や不具合のシーンをよく見ます
ピッチコムの故障で大変な事に🥺
— 忍者777 (@kusoboke) April 17, 2023
機器はあまり丈夫じゃないのかな?不具合結構あるような…#ShoheiOhtani #Shohei #Ohtani#大谷翔平 pic.twitter.com/HrFpgddXrS
機械なので、多少の故障はしょうがないのですが、それにしても不具合がでる回数が多いと思います
投手は自らの投球リズムがあります
そのリズムが、ピッチコムの故障によって崩れてしまうリスクがあります
また、雨の日に、ピッチコムが使えなくなったというシーンも見ました
今後、改良はされていくと思いますが、故障があるというのは、機械を使うことのデメリットになります
メリット2_音声が聞こえない
ピッチコムは骨伝導で、サインを聞くことができる機械です
そのため、観客の歓声があまりにも大きかったり、何か他の大きな音がすると、サインが聞こえないことがあります
大谷選手が、グローブを耳に当てているシーンをよく見ます
#エンゼルス の #大谷 はレッドソックス戦に先発投手兼2番指名打者で出場しています。写真は、捕手とサイン交換をするための通信機器「#ピッチコム」に耳を傾ける大谷です。#MLB #オオタニサン #大谷翔平 #大リーグ
— 時事通信社写真部 (@jiji_shashinbu) June 10, 2022
「ピッチコム」の関連記事→https://t.co/DjsPhRHscV pic.twitter.com/qdHh7naO7o
音声を正確に聞き取ろうとするために、このような動作になります
もっと、楽に音声が聞こえるような工夫が求められます
ピッチコムは日本に導入されるのか?
日本ではピッチコムの導入はまだ、あまり検討されていないようです
MLBでピッチコムが導入されたきっかけが、「サイン盗み」だったことを考えると、日本でも「サイン盗み」がもっと広がると、導入検討が盛り上がるのでしょう
しかし、日本のプロ野球ではあまりサイン盗みは行われていません
ピッチコムの必然性があまりないのが、現状の日本のプロ野球だといえます
ピッチコムも雨で故障したり、音が聞こえなかったりと問題はまだありますので、MLBで完全に定着した頃に、日本のプロ野球では検討が進むのが、現実でしょう
まとめ
今回の記事では、ピッチコムの仕組みや使い方、導入目的まで詳しく解説しました
最後にポイントをまとめます
ポイント
- ピッチコムとはPITCHCOMという会社が開発した、投手と捕手がサインの伝達ができる通信機器
- ピッチコムは送信機1台で70万円程度の値段
- ピッチコムはサイン盗み防止を目的として、導入された
ピッチコムの使われ方を見るのも、プロ野球の楽しみ方の一つですね!
ピッチングに役立つこちらの記事もどうぞ