この記事で解決できる悩みや疑問
- 勝利投手の条件を知りたい
- 勝利数が投手の能力を表さないって本当?
日本では200勝が投手の目指す一つの指標となっています。一方、MLBでは勝利数を重要視していないと聞きます
投手の能力を表すために、勝利数は意味がないのでしょうか?
そこで、この記事では勝利投手の条件と、投手の能力を表すのに勝利数に価値があるかを解説していきます!
この記事の内容
- 勝利投手の条件とは
- 勝利数が投手の能力を表さないと言われている意味
- 勝利数の歴代記録
この記事を読むと、勝利投手の条件と、勝利数が投手の能力を表していない、と言われている意味が理解できます!
では、解説していきます
勝利投手の条件とは
野球ではチームの勝敗のほかに、投手個人にも勝敗がつきます
勝ち投手の条件は、公認野球規則9.17に記されています
ある投手の任務中、あるいは代打者または代走者と代わって退いた回に、自チームがリードを奪い、しかもそのリードが最後まで保たれた場合、その投手に勝投手の記録が与えられる
公認野球規則
つまり、決勝点がはいった前の回に投げていた投手が、「勝ち投手」となります
ただし、条件はこれだけではありません
先発投手と中継ぎ投手で、条件が変わります
先発投手の場合
決勝点がはいった前の回に投げていることに加え、5回終わりまで投げ切ることが条件となります
5回2アウト降板となった場合には、勝ち投手にはなれません
また、5回を投げ切ったタイミングで、勝っていたとしても、その後、同点に追いつかれたり、逆転された場合にも勝利投手になれません
よく、「〜〜投手の勝ちが消えました」とアナウンサーが言ってますよね
中継ぎ投手の場合
先発投手と同じく、決勝点がはいった前の回に投げていた投手が「勝ち投手」となる、が基本です
同点に追いついたり、追いつかれたり、逆転したりしたとして、決勝点が入った前の回の投手が勝ち投手です
ただし、先発投手が5回を投げ切らずに降板した場合には、少し条件が異なります
その後のリリーフが、1人で投げ勝った場合にはその1人が勝利投手に
その後のリリーフが、2人以上で投げ勝った場合には、最も長く投げた投手が勝利投手になります
(※ただし、1イニング未満の差異の場合は、同じイニングと判定されます)
これも公認野球規則9.17に記されています
救援投手が1人であればその投手に、2人以上の救援投手が出場したのであれば、勝利をもたらすのに最も効果的な投球を行ったと記録員が判断した1人の救援投手に、勝投手の権利を与える。
公式野球規則
この、「最も効果的な投球を行なった」と記録員が判断する基準が投球回数なのです
もし、投球回数が同じだった場合には、自責点や試合の流れによって記録員が判断をすることになっています
勝利数が投手の能力を表さないと言われている意味
このような勝利投手の条件ですが、投手の能力を正確に表すことができないと言われています
10点取られても勝ちがついたり、1点取られても負けることもあるなど、味方の得点力に左右されることが理由です
中継ぎであれば、10球以下で勝利投手になることも多々あります
そのため、近年は勝利数よりも、より投手の能力を測る別の指標が使われ始めています
例えば下記のような指標です
指標 | 計算方法 | 目的 |
---|---|---|
WHIP | (与四球+被安打)÷イニング | 1イニングに許す走者の数 |
QS | 先発投手が6回以上を自責点3点以下に抑えた時にカウント | 先発投手の安定感を示す |
奪三振率 | 奪三振×9÷投球回 | 三振をとる力 |
被本塁打率 | 被本塁打×9÷投球回 | 9イニングあたりの被本塁打の数 |
実際にメジャーリーグでは18勝をあげた投手よりも10勝の投手が、投手の最優秀賞である、サイ・ヤング賞を受賞しています
日本ほど、勝利数というのが重視されていないわけです
一方、日本は投手の最優秀賞である沢村賞の基準には、15勝以上という条件があります
また、活躍した選手が引退後に入会できる名球会も、会員資格が投手で通算200勝以上となっています
そろそろ、日本のプロ野球も指標を見直す時期が来ているのでしょう
勝利数の歴代記録
最後に、日本のプロ野球で重要視される勝利数の歴代記録を紹介します
歴代通算勝利数ランキングです
順位 | 選手名 | 通算勝利数 |
---|---|---|
1 | 金田正一 | 400勝 |
2 | 米田哲也 | 350勝 |
3 | 小山正明 | 320勝 |
4 | 鈴木啓示 | 317勝 |
5 | 別所毅彦 | 310勝 |
6 | スタルヒン | 303勝 |
7 | 山田久志 | 284勝 |
8 | 稲尾和久 | 276勝 |
9 | 梶本隆夫 | 254勝 |
10 | 東尾修 | 251勝 |
2023年通算勝利数ランキングです
順位 | 選手名 | 通算勝利数 |
---|---|---|
1 | 山本由伸 | 16勝 |
1 | 東克樹 | 16勝 |
3 | 戸郷翔征 | 12勝 |
3 | 大竹耕太郎 | 12勝 |
5 | 床田寛樹 | 11勝 |
5 | 平良海馬 | 11勝 |
7 | 村上頌樹 | 10勝 |
7 | 伊藤将司 | 10勝 |
7 | 山﨑伊織 | 10勝 |
7 | バウアー | 10勝 |
7 | 小川泰弘 | 10勝 |
7 | 髙橋光成 | 10勝 |
7 | 宮城大弥 | 10勝 |
7 | 小島和哉 | 10勝 |
昔に比べ、近年は先発投手の登板回数が少ないことや、継投が基本となっていることから、勝利数も減っている傾向にあります
なおさら、投手の能力を表す指標としては、勝利数が適さないものになっていることがわかりますね
まとめ
今回の記事では、勝利投手の条件と、投手の能力を表すのに勝利数に価値があるかを解説しました
最後にポイントをまとめます
ポイント
- 先発投手の場合、5回を投げきり、かつ決勝点がはいった前の回に投げれば「勝ち投手」となる
- 中継ぎ投手の場合、1人ならその人が、2人以上なら最も長く投げた投手が「勝ち投手」となる
- 継投が通常になっている、現代野球において、勝利数は投手の能力を示す指標としては適さない
勝利数以外の投手の能力を示す指標にも注目しながら、これからも、野球を楽しみましょう!
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