この記事で解決できる悩みや疑問
- プロ野球の育成選手とは
- プロ野球の育成から這い上がった選手を知りたい
現在、プロ野球選手は1,000人くらいいます
ただ、その中の4分の1(250名弱)が育成契約という扱いです
育成契約とはどのような契約なのでしょうか
この記事ではプロ野球の育成選手について詳しく解説していきます!
この記事の内容
- プロ野球の育成選手とは
- プロ野球の育成契約の中身や給料
- 育成契約のずるい使い方
- プロ野球の育成から這い上がった選手
この記事を読むと、プロ野球の育成選手の詳細がわかります!
では、解説していきます
プロ野球の育成選手とは
プロ野球の育成選手とは、プロではないけれど、育成を目的としてプロ野球球団と契約している選手のことです
プロ野球は1球団につき最大70名までしか、支配下登録(プロ契約)はできません
そのため、有望な若手選手を育成する目的として、2005年に育成制度ができました
制度の正式名称は育成選手制度といい、育成選手制度で登録されている選手のことを育成選手といいます
このように支配下登録の下に人数無制限で育成契約の選手がいます
支配下登録の70名にはいるため、必死に頑張っています
育成契約からの支配下登録は、7月末まで可能になっています
一度、支配下登録されると、シーズン中に支配下登録選手から育成契約に変更されることは認められていません
プロ野球の育成契約の中身や給料
育成契約と支配下登録には大きな違いあります
最も大きな違いは、育成契約は「1軍の試合に出られない」ということです
あくまで育成を目的とした契約なので、1軍の試合には出られないのですね
また、2軍の試合にも1試合で5人までしか出場できないと決められています
そのため、育成選手を多く抱えるソフトバンクなどは、3軍、4軍を設置し、大学や社会人チームとの対戦を組むことで、選手を育成しようとしています
育成契約と支配下登録には、他にも違いがあります
育成と支配下登録の違い
- 背番号が3桁
- 契約期間は3年間
- 契約金がない
背番号は基本的に100番台ですが、チームのスタッフと紛らわしいという理由で、巨人は0から始まる3桁、中日は200番台になっています
契約期間は3年となっており、もし3年間の間に支配下登録されなかった場合には、自由契約選手になるか、再度育成選手として3年間の契約をするということになります
過去のデータによると、育成契約の選手が支配下登録された確率は大体3割になっています
7割の選手は支配下登録されず、プロ野球選手になる夢を諦め退団することとなります
契約金はありませんが、代わりに支度金という名目で300万円が支払われることになっています
より細かく育成選手に関する内容を知りたい方は、こちらの規約をご覧ください
育成選手の気になる給与ですが、最低年俸が240万円と決められていますが、上限はありません
平均は240万円〜400万円と言われています
高額な年俸をもらっているイメージのプロ野球選手ですが、育成契約だとかなり厳しいことがわかります
こちらが、プロ野球選手の平均年収です
平均年収 | |
---|---|
育成選手 | 260万円~400万円 |
支配下登録選手(2軍以下) | 884万円 |
1軍選手 | 1億313万円 |
全体 | 4262万円 |
1軍選手全員1億円もらっているように見えますが、有名選手が金額を引き上げているだけです
1軍選手の最低保証年俸は1,600万円となっており、多くの選手は1,600万円〜3,000万円が現実です
育成契約のずるい使い方
このような育成契約ですが、FA人的補償の抜け道として使われており、ずるいという声も近年言われています
人的補償とは、FA宣言により選手が他球団に移籍した場合、戦力低下の補償として移籍先球団から選手を獲得できる制度のことです
所属選手がFA宣言をして、移籍が決まった場合、所属元球団が、移籍先球団の選手から人的補償選手を選ぶことができます
ただし、誰でも自由に選べてしまうと、FA選手を獲得する球団がなくなるため、移籍先球団は人的補償の対象外にする選手を28人選ぶことができます
このことをプロテクト枠と言います
所属元球団は、プロテクトされている28人と、直近のドラフトで獲得した選手以外から人的補償選手を選びます
人的補償や金銭補償については、こちらで詳しく解説しています
-
【明快】野球の人的補償や金銭補償って何?プロテクト枠やトレードとの違いも解説!
続きを見る
2022年オフ、巨人は11選手を自由契約にし、11人全員と育成契約を結びました
その中には、年俸2億円の梶谷選手などがいました
育成契約の選手は人的補償の対象外となるため、本来の育成も目的ではなく、人的補償から逃れるために育成制度を利用していると批判が殺到しました
育成契約が、人的補償におけるプロテクト枠以外の抜け道になっているのです
育成契約の年俸の上限を決めたり、育成選手からも人的補償を選べるようにするなど、まだ制度の改定は必要そうです
プロ野球の育成から這い上がった選手
育成から支配下登録選手になれるのが、大体3割ですが、さらに1軍で活躍できた選手というと、かなり少なくなります
こちらが、育成から這い上がって1軍である程度の成績を残した(残している)主な選手一覧です
※育成ドラフトで入団した選手を対象にしています
球団 | 選手名 | 成績 |
---|---|---|
巨人 | 山口鉄也 | 642登板/273ホールド/2.34 |
巨人 | 松本哲也 | 591試合/.263/0/57 |
オリックス | 宇多川優希 | 65登板/23ホールド/1.46 |
オリックス | 石川柊太 | 170登板/49勝/39敗/3.38 |
オリックス | 周東右京 | 469試合/.246/12/70/154盗塁 |
オリックス | 牧原大成 | 675試合/.268/19/166 |
オリックス | 千賀滉大 | 224登板/87勝/44敗/2.59(NPB) |
オリックス→阪神 | 大竹耕太郎 | 56登板/22勝/11敗/3.31 |
ロッテ | 岡田幸文 | 910試合/.255/0/119/142盗塁 |
ロッテ | 和田康士朗 | 316試合/.235/3/11/78盗塁 |
西武 | 水上由伸 | 112登板/40ホールド/1.98 |
楽天 | 宋家豪 | 297登板/103ホールド/2.95 |
2023年のドラフトでは、50名の選手が育成として指名されました
育成制度ができてから約20年、50名×20年で1,000人の育成選手がいたと考えます
1軍で活躍できているのが12名なので、育成契約から活躍できる確率はわずか1.2%となります
かなり、狭き門だということがわかりますね
また、育成に定評のあるソフトバンクから多くの選手が活躍していることもわかります
ここからは特に活躍した3人の詳しい経歴を紹介します
1.巨人_山口鉄也選手
山口選手は、2005年に横浜や楽天の入団テストを受けるが不合格、最後に受けた巨人の入団テストに合格します
育成ドラフトで指名され、2006年にはイースタンリーグで25試合に登板し、防御率1.61、2007年も好投を続け、4月に支配下登録されます
巨人で育成から支配下登録された2人目の選手となりました(1人目は松本哲也選手)
その後は、育成出身選手で、初の新人王を受賞、WBC日本代表にも選出、NPB最多タイ記録となる最優秀中継ぎ投手を3回獲得しました
育成出身選手でも1軍で活躍できることを証明した最初の選手といえます
2.ロッテ_岡田幸文選手
2008年のドラフトでロッテから育成6位指名を受けた岡田選手
ロッテの選手寮に入居し、技術を磨くと、2009年に支配下登録されました
野球選手の寮については、こちらの記事で詳しく紹介しています
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【野球漬け】プロ野球の寮生活の謎を公開。寮の食事は?費用は?門限はあるの?
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ロッテの選手寮に入居し、技術を磨くと、2009年に支配下登録されました
2011年にレギュラーになると、育成選手として初となるシーズン全試合出場・規定打席到達を果たし、41盗塁、ゴールデングラブ賞を受賞するなど、大活躍を果たした
2011年にはリーグ新記録である、外野手の連続無失策359を記録
圧倒的な走塁と守備で、育成から這い上がった名選手です
3.オリックス_千賀滉大選手
育成出身で最も活躍した選手は、間違いなく千賀投手です
育成出身者初のノーヒットノーラン、投手三冠王、日本シリーズ開幕投手など、通常ドラフト上位選手でも達成するのが難しい記録を作っています
千賀選手は2010年の育成ドラフトで4位指名を受け、ソフトバンクに入団します
2011年は三軍で体を鍛え、2012年に支配下選手登録されました
その後、1軍での登板機会が増えると、2016年からは7年連続で10勝以上をあげ、2023年にポスティングでニューヨークメッツに移籍します
もちろん、育成選手からメジャーリーガーになったのは千賀選手が初めてです
メジャーでも29試合に登板、12勝7敗、リーグ2位の防御率2.98の結果をだし、実力が通用することを証明しました
まとめ
今回の記事では、プロ野球の育成選手について解説しました
最後にポイントをまとめます
ポイント
- プロ野球の育成選手とは、プロではないけれど、育成を目的としてプロ野球球団と契約している選手のこと
- 育成契約は最低年俸が240万円で、1軍の試合にも出られない
- 育成契約は、FA人的補償の抜け道として使われている
厳しい育成期間を経て、這い上がってきた選手を応援したいですね!
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