
この記事で解決できる悩みや疑問
- 振り逃げの成立条件が曖昧なので知りたい
- 振り逃げが成立しないケースも知りたい
- 振り逃げで出塁率がどうなるかを知りたい

突然ですが、クイズです。見逃し三振時、振り逃げは成立するでしょうか?
どっちだろうと迷いませんか?
このように、意外と振り逃げの成立条件を正確に知っている人は少ないのではないでしょうか
そこで、この記事では振り逃げの成立条件をわかりやすく解説していきます!
この記事の内容
- 振り逃げの成立条件
- 振り逃げが成立しないケース
- 振り逃げホームラン
- 振り逃げによるスタッツの変化
この記事を読むと、振り逃げが成立する条件をしっかり理解できます!
では、解説していきます
振り逃げの成立条件
振り逃げとは「バッターが三振時」に「キャッチャーが捕球できず」、バッターが1塁への進塁を試みるプレーのことです

「バッターが三振時」と「キャッチャーが捕球できない」という部分がポイントです
「バッターが三振時」の三振は空振りでも見逃しでも成立します
振り逃げという名前から、空振り三振の時だけ成立しそうですが、そうではありません
見逃し三振でも、キャッチャーが捕球できていない場合は振り逃げのチャンスがあります
では、「キャッチャーが捕球できない状態」とはどのような状態でしょうか

キャッチャーが捕球できていない状態は主に3つのパターンがあります
- 落球
キャッチャーがボールをグローブに当て、キャッチできなかった場合 - 後逸
キャッチャーがボールをとれず、後ろに逸らした場合 - 地面についてから捕球
投球が地面に着いてから、キャッチャーが捕球した場合
落球や後逸は捕球できていないことがわかりやすいです
意外と知られていないのが、③ピッチャーの投げた球が地面についてから捕球した場合です
この場合、捕球したとしても、正規の捕球とはみなされず、振り逃げのチャンスがあるのです
振り逃げという名前から、打者が空振り三振した時にだけ発生するルールと勘違いされますが、そうではありません
ちなみに、「振り逃げ」という言葉は公認野球規則のどこにも書いてありません
野球中継などで、「振り逃げ」という言葉が使われ始め、次第に一般的な用語として浸透していきました
英語ではUncaught third strikeといい、「捕球されなかった第三ストライク」の意味なので、間違えることはなさそうですね
振り逃げが成立しないケース
振り逃げをした時、ボールより早く打者が一塁に到達すれば振り逃げ成功となります

ただし、振り逃げには成立しないケースがあります
ランナーが一塁にいる場合です
ランナーが一塁にいる場合(1塁、1,2塁、満塁)は、バッターが走っても一塁にはすでにランナーがいるため振り逃げはできず、三振となります
ただし、2アウトでランナーが一塁にいる場合は振り逃げが可能となります
ランナーが一塁にいる場合は、振り逃げが成立しないのには理由があります
振り逃げを成立させてしまうと、守備側がわざと落球をしてダブルプレーをとる可能性があるからです
例えば、1アウト1塁のケースで見逃し三振の場面、もし振り逃げが成立する場合、捕手がわざと落球をし、2塁へボールを投げ、その後1塁にボールが投げられるとダブルプレイとなります
三振を取るよりもわざと落球したほうが、より多くのアウトを取れるルールになってしまいます
そのため、ランナーが1塁にいる場合(ダブルプレーが取れる場合)は振り逃げができないようになっているのです
2アウトになると、ダブルプレーが取れなくなるので振り逃げがOKになるのですね
ここで1つクイズです
2アウト満塁で、バッターが三振、ボールを後ろに逸らした場合は振り逃げは成立するでしょうか?
2アウトなので、振り逃げが可能です
キャッチャーは後ろに逸らしたボールをとって、1塁に投げるというシーンをよく見ます
ただ、この場面ではキャッチャーはボールを持ってホームベースを踏むのが最も安全です
キャッチャーから1塁はランナーと重なるため、最もボールが投げにくいです
なので、弾いたボールがホームベース付近の場合には、ホームベースを踏むようにしましょう
ルールを確実に頭に入れておき、振り逃げのチャンスを見逃さないようにしましょう
振り逃げホームラン
プロ野球や高校野球でも振り逃げルールを正しく理解しておらず、点を取られたことがあります
有名なのは2007年神奈川県大会準決勝の東海大相模高校と横浜高校の試合です
まずは動画をご覧ください
三振後ランナーが一塁に走っていますよね
空振り三振でしたが、ピッチャーの投げた球が地面についてから捕球したため振り逃げが成立したのです
この打席でこのバッターはホームまで帰ってきて、結果、振り逃げ3ランという珍しい記録がうまれました
結果的に振り逃げ3ランの得点が効いて、6-4で東海大相模高校が勝利をしています
ルールを正しく理解できていなかった、横浜高校メンバーは悔しいと思いますが、三振した選手に対して「走れ!」と指示を出した、東海大相模高校が素晴らしいとも言えますね
もう一つここで覚えて欲しいのが、「振り逃げできる権利はいつまであるのか」です
このバッターがベンチに戻ってから、あっ、振り逃げし忘れた!と思って走った場合は成立するでしょうか?
成立しませんよね
振り逃げできる権利の境界線は、バッターサークルの周りにある「ダートサークル」です
ダートサークルとはバッターサークルの周りにあるこの円のことです

この円をでる前に振り逃げで一塁に走り出せばOKですが、ダートサークルをでてしまうと、振り逃げの権利は無くなります
プロ野球でも振り逃げ満塁ホームランの記録がうまれたことがあります
1960年、東映フライヤーズ対毎日大映オリオンズ戦で事件は起こりました
3-1と東映リードの8回ツーアウト満塁時、大映の山内は見逃し三振をしました
東映チームは3アウトだと思い、ベンチに下がっていきましたが、この時捕手は投球を後逸していたのです
大映の山内選手はそれを見逃さず、そのまま守備陣がいないダイヤモンドを一周しました
東映チームは「打者が振っていない」「ランナーが一塁にいる」ともう講義しましたが、打者が振っていなくても、ツーアウトの場合はランナーが一塁でも振り逃げは成立します
結果、振り逃げは認められ、振り逃げで4得点を挙げるという「振り逃げ満塁ホームラン」が記録されました
振り逃げによるスタッツの変化
振り逃げが成功した際に、記録面で気をつけることがあります
それは出塁率です
振り逃げで1塁に出塁した際、出塁率が上がるかと思うのですが、振り逃げで出塁率は上がりません
出塁率の計算はこのように決められています
出塁率=(安打+四死球)÷(打数+四死球+犠飛)
出塁率に入るのは、安打と四死球だけなので、振り逃げでは打数が増えるだけで、出塁率は下がることになります
また、投手には奪三振が記録されます
同時に暴投または捕逸が記録されます
プロ野球の奪三振率の歴代記録はこちらの記事でも紹介しています
まとめ
今回の記事では、振り逃げの成立条件を解説しました
1つ1つのプレーが勝敗を大きく分けることがあります
正しくルールを覚えておくことは大切ですね
バッティングに役立つこちらの記事もどうぞ
最後にポイントをまとめます
ポイント
- 見逃し三振でも振り逃げ可能
- ピッチャーの投げた球が地面について捕球しても振り逃げ可能
- ランナーが一塁にいる場合は振り逃げができないが、ツーアウトの場合は振り逃げ可能
ルールを正しく理解して、野球を楽しみましょう!